引っ込み思案な恋心。-1st
「何か、馬場に気ぃ使わせたなぁ。ホントは馬場と帰る予定だったんだろ?」
「うん…。けどあかねちゃん、映美佳呼び出して楽しそうに帰っていったよ」
勉強会が無事に終わり、私は拓に送ってもらうことになった。
…まだ、拓って呼ぶの、かなり恥ずかしい……。
「でもさ、細井も言ってたけど、もう1年も終わりなんだな」
「…そうだね。もうすぐクラス替えかぁ」
「…また不安になってんだろ?今度も孤立するのかな…とか?」
「えっ!?」
なんで分かるんだろう?
今、ホントに心の中を読まれた気分だった。
「だいたい柚の考えてることなんて分かるし。…つーかさぁ、確かにあの勉強会のメンバー全員が同じクラスってのは無理だと思うけど……」
辺りが夕闇に包まれそうな帰り道。
拓の横顔が、妙に真剣に見えた。
「もし俺と柚がクラス離れても、一度繋がれた絆ってのは簡単に離れないもんだろ?絶対大丈夫だから、変に心配するなよ」
「うん…」
「それにお前ら女子は4人もいるんだから、誰か一人ぐらい一緒のクラスになれるんじゃね?」
「そ、そんな適当な……」
「テキトーって思うぐらいで丁度いいんだよ。もっと気楽に考えればいいじゃん」
…私もそんな気楽な性格になりたい…。
「俺だって、小学校の時からずっとマサと同じクラスだったけどさ、今度また同じクラスなんて無理かもしれねえ。けど、また新しい仲間に出会えると思ったら楽しみだな」