引っ込み思案な恋心。-1st
拓の手がゆっくりと離れて、私達は別々の方向を歩き出した。
けど……
私は拓が歩く方向に振り返った。
遠のく背中が、少しずつ小さくなる。
「た……っ、拓っ!!」
私は勇気を出して、拓の名前を呼んだ。
「…え?」
拓は私の声に反応してくれて、ゆっくり私の方に振り返ってくれた。
「私、それでも拓と同じクラスになりたいと思ってる。2年になっても、3年になっても……」
『拓』って名前を呼ぶたびに、ドキドキしている自分がいる。
けど、伝えたいと思った。
きっと、今日こんな話題が出なかったら、こんなこと伝えられないと思うから。
すでに何歩か歩いていた拓の表情は、暗くて分からない。
だけど、少し微笑んでくれたような気がした。
「……当たり前だろ。俺だって、柚と同じ気持ちに決まってる。…二人で願っていようぜ。一緒のクラスになれるように」
「…うんっ!!」