引っ込み思案な恋心。-1st

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「拓ー、また明日な!」



「おう!またな」






今日は午前中で授業が終わって、クラスのみんなは晴れ晴れしい顔で教室を去っていく。





私もゆっくりとカバンに教科書を入れていく。





教室に人がまばらになり始めた頃、いきなり前から声が聞こえた。






「…杉田」





声のした方を見ると、帰る支度を整えた瀬川くんが立っていた。





「え?」





瀬川くんは少し硬い表情。





いつも瀬川くんを囲んでいる友達はみんなとっくに教室を出たみたいだった。






「また明日な」





瀬川くんは、少し私に微笑みかけてくれた。





「うん。また明日……」





やっぱり出た声は小さかったけど、私も瀬川くんに挨拶を返した。







…これも同情なのかな?





けど同情だったら多田さん達に指摘された時点で、もう話し掛けてこないハズだよね?






瀬川くんの気持ちは全く分からなかったけど、挨拶をすることは悪いことじゃないから、私も軽く瀬川くんに微笑み返した。






でもきっと、この笑顔、引きつっていただろうな……。





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