引っ込み思案な恋心。-1st





「先生の左の袖口のボタン、取れかけてます………」












「えっ!?」





宇野先生は、驚いて自分の左手首を見た。





すると、その勢いのある動きで糸が勢いよく伸び、ボタンがカランカランと音を立てて床に落ちていった。





「「あっ」」





私と先生は、同時にそのボタンの動きに反応し、床に落ちたボタンを見やった。





ボタンは先生に近いところに転がってきて、それを先生がそっと拾い上げた。





「あーあ。これから家庭訪問なのに。たまにしかスーツ着ないから、ボロが出たなあ」





宇野先生は苦笑いしながら私を見た。





何となく困った表情も見え隠れする先生を見て、私の心はハッキリと決意した。





気が付けば、言葉を発していた。





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