引っ込み思案な恋心。-1st





「…杉田?」






廊下から教室に向かってくる瀬川くんから、呼びかけられた。





「…え?」






何で瀬川くんがここにいるの?



もう帰ったはずじゃなかったの…?






「さっき、うのっちと話してた…?」



「え……、う、うん」






瀬川くんは一人だったけど、さっき持っていたはずのカバンが無かったから、一度家に帰ってもう一度ここに戻ってきたんだと確信した。






「ごめん。俺、体操服忘れてきて。…立ち聞きするつもりはなかったんだけど…」





うそ……!?



さっきのやり取り、聞かれてた?








「ホントごめん。嫌だったら誰にも言わないから。じゃあ…、気を付けてな」





びっくりして唖然とする私にそう言った瀬川くんは、立ち尽くす私の横をすり抜けて、教室の中に入っていった。










――
―――――

< 35 / 243 >

この作品をシェア

pagetop