引っ込み思案な恋心。-1st
「…杉田?」
廊下から教室に向かってくる瀬川くんから、呼びかけられた。
「…え?」
何で瀬川くんがここにいるの?
もう帰ったはずじゃなかったの…?
「さっき、うのっちと話してた…?」
「え……、う、うん」
瀬川くんは一人だったけど、さっき持っていたはずのカバンが無かったから、一度家に帰ってもう一度ここに戻ってきたんだと確信した。
「ごめん。俺、体操服忘れてきて。…立ち聞きするつもりはなかったんだけど…」
うそ……!?
さっきのやり取り、聞かれてた?
「ホントごめん。嫌だったら誰にも言わないから。じゃあ…、気を付けてな」
びっくりして唖然とする私にそう言った瀬川くんは、立ち尽くす私の横をすり抜けて、教室の中に入っていった。
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