引っ込み思案な恋心。-1st

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…というわけで、放課後、瀬川くんの家で勉強会が行われることとなった。





「へー、瀬川の部屋、マジででかいね〜」





いつものように先陣を切って瀬川くんの部屋に入っていったあゆは、部屋の大きさに感心しながらキョロキョロしていた。





「しっかし、結構汚くない?」





続いて入ったななっぺは、散らかった漫画雑誌を部屋の隅の方に適当に積み立て始めた。





「そーだよ。これじゃあうちら座れないじゃん」





あかねちゃんもななっぺに続き、漫画を片付け始めた。





あかねちゃんはもちろん馬場さんのことで、私達が4人で行動するようになってからそう呼び始めた。






そして、もう一人………。






「ま、拓の部屋はいつもコレだから。まだ片付けた方じゃねぇ?」





後ろから登場したのは、瀬川くんの友達・倉本雅樹(くらもと・まさき)くん。





私達と同じクラスなんだけど、私が彼の名前を覚えたのは、正直言って何日か前の話。





瀬川くんの周りには常に何人かの男子がいるけど、その中でも倉本くんは瀬川くんの親友みたいな感じだった。





あゆから聞いた話だと、二人は小学校の時から仲が良いらしい。








「お前らごちゃごちゃうるせー!!冷蔵庫見たら麦茶しかなかったから、麦茶で勘弁してー」





そして更に後ろから、この部屋の主の瀬川くんが、お盆に麦茶のグラスを載せて持ってきた。





「あっ、私並べるよ」





そんな瀬川くんの様子に気付いた私は、右手を上げながら部屋の入口の方に駆け出した。





「ああ、杉田、サンキュー。俺まだお菓子探して持ってくるから。適当に始めといて」





瀬川くんからお盆を受け取った私は、それを慎重に部屋の中央に置いてあるテーブルまで運んだ。





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