引っ込み思案な恋心。-1st





「あ〜、やっと始められそうだね。しっかし、部屋の整理だけでかなり疲れちゃったんだけどー」





グビッと麦茶を一口飲んだあかねちゃんは、ため息をつきながらカバンから教科書を出し始めた。





「男子の部屋なんて、だいたいこんなもんだってー」





同じく教科書をテーブルに並べ始めた倉本くん。





「倉本!アンタなんにもやってないでしょーが!」





けど、呑気そうな様子の倉本くんに一喝入れたのは、やはりあゆ。





「いやいや、一緒に手伝ったじゃん」





倉本くんは少し焦ったようにも見えたけど、まだ余裕な感じ。





でも…





「私は見たよ。片付けながら漫画読んでたでしょ?」





ズバリななっぺに指摘されて、倉本くんの顔が一瞬こわばった。





「いや……ぁ、ついちょっとだけ見ちゃったけど、ちゃんとやった…つもりなんだけど……なぁ」





倉本くんは言い訳を始めたけど、みるみる私達の視線が冷たくなるのを感じてか、言葉がところどころ詰まっていた。





けど、あゆはそんな言い訳を聞いていなかったかのようにきれいに無視をした。





「瀬川も使えないヤツ連れてくるよねー。ま、いっか。始めよう。柚、まずは何からやる?」





話を振られた私は、カバンから数学の教科書を取り出した。





「まずは数学から。数学の勉強は一夜漬けでは難しいから、今から問題をこつこつ解きながら公式とかを覚えていくの」



「なるほどー。勉強する順番をちゃんと考えてる辺り、さすが柚だね」





そう言ったななっぺは、数学のノートを開いて数学のテストの範囲を確認した。





「まずは基本的な問題から。42ページの問5を解いてみて」





私がそう言うと、みんなは頷いた。





そして、みんなの視線は一斉に教科書に向かった。





それを確認して、私もみんなと同じように教科書の問題に取りかかった。










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