引っ込み思案な恋心。-1st
「じゃあ、今日は前に言った通り、ハードル走をします。とりあえずいつも通り準備運動して、体育委員を中心にハードル並べていってくれ」
今日の体育の担当は、いつもは男子担当の武田先生。
ベテランのおじさん先生で、生徒指導もやってて、かなりコワモテ。
けど、意外と気さくで生徒に人気がある。
そんな武田先生の声で体育委員が出てきて、他のみんなは適当に列を広げた。
そして、1、2、3、4………と、みんな同じ動きをしながら準備運動を始めた。
「何コレ!?ハードルって結構重いじゃん!」
準備運動が終わって、ハードルを出すために体育倉庫へと向かった。
そして、一番にハードルを持ったあゆが驚きの声を上げた。
「うわっ!ホントだ。結構重い……」
私もあゆと同じようにハードルを持ち上げると、私の予想よりも数倍重く感じた。
すると……
「ハードルなんて持っていく数が決まってんだから、男子に任しときゃいーんだよ」
後ろから男子の声が聞こえて、急に私の持っていたハードルが軽くなった。
その声のした方を振り返ると、瀬川くんがいた。
瀬川くんは、私の持っていたハードルの端っこを持っていた。