引っ込み思案な恋心。-1st
びっくりしたーーー。
いきなり瀬川くんから話を振られてちょっと焦っていると、ななっぺが瀬川くんに話し掛けた。
「柚も汗かいてるからオッケーに決まってんじゃん。ま、倉本は決定権なしだけど」
「マサ…そういやあまり汗かいてないな…。杉田は冷房苦手そうだから聞いただけなんだけど」
瀬川くんは、他の女子メンバーが汗だくなのに、倉本くんだけが汗をかいてないことを妙に思ったみたいだったけど、すぐに私の話題に戻した。
瀬川くんにチラッと顔を見られた私は、ちょっとドキッとしながら瀬川くんに答えた。
「う、うん。冷房、大丈夫だよ」
……というか、私、チラッと顔を見られたことよりも瀬川くんに対してドキドキしてることがあるんだけど……。
瀬川くんは、そんな私の心の中なんて気付く訳がなく、私の返事を聞いた途端、みんなの方に視線を向けた。
「じゃあ、冷房入れるから!ここにリモコン置くから、暑いとか寒いとかあったら、テキトーに操作してな!」
瀬川くんが大声でそう言って冷房のスイッチを入れると、みんなは「うん」と返事をしながらカバンから宿題と筆記用具を取り出し始めた。