引っ込み思案な恋心。-1st
「杉田ぁ、この数学のプリントの問7が分かんないんだけど」
勉強を始めて1時間半。
7月中に勉強系の宿題をほぼ終わらせていた私は、みんなに解き方とかを教えて回っていた。
あかねちゃんの勉強を見ていた私は、瀬川くんに声をかけられた。
「あ、こっちはだいたい分かったからさー、瀬川の方行ってきなよ、柚」
「うん、また分かんなかったら呼んでね」
「オッケー」
あかねちゃんに促されて、私は瀬川くんの隣に座った。
………ちょっと緊張する。
さっきから、とてもドキドキ心臓がうるさい。
何故なら、瀬川くんの私服を初めて見た気がするから。
前に勉強会をした時は、瀬川くんも制服から着替えてなかった。
もちろん今日の私も私服。
…あんまり変にしたつもりはないんだけど、おかしくないよね?
私は、長めのワンピースにカーディガンを羽織ってきた。
対して瀬川くんの私服は、すごくラフな感じ。
青いTシャツにはき慣れているジーパン。
「えっと……ここはね、教科書で言うと………」
瀬川くんが指差した問題を確認して数学の教科書を取り出し、ペラペラとページをめくった。
けど、指が上手く動かない。
パサッ!!
気付くと、数学の教科書を落としていた。