うみかぜはしる
第一章 * 出会い
…ヴー ヴー ヴー ヴー
机の上の携帯のバイブが鳴った。
…はぁ、マジうぜー!!!
「…もしもし?」
「もしもし愛音?今なにしてた~??」
受話器の先から、低いけど、テンションの高い声が響く。
「勉強。明日模試あるからさ」
「マジか~…俺今日仕事早く終わったからさ、いまから会えない?」
「だから明日模試だって!無理だよ!」
「ちょっとだけ!!ダメ?」
「ダメ。」
「はぁ~…てか愛音、最近冷たくない?俺のこと本当に好きなの?」
またこれだよ…。
好きかと聞かれたら本当に困る。
だって"好き"って、よくわかんない。
嫌いではないんだけど、それってイコール好きではないんだもんね。
「………」
「…もういいわ。またメールする」
プッ ツー…ツー…
はぁ、と溜息をついて携帯をベッドに放り投げた。