おしゃべりな百合の花
Tue.
翌日の朝食タイムは静かに過ごすことが出来た。
だが、その後待っている、任務以上に過酷な予定を考えると、龍一は朝刊に目を走らせるものの、全く内容が頭に入ってこなかった。
食事を終え、会計を済ませている龍一に、忍び寄る人影…
「遊園地に行きたい。」
彼女は満面の笑みでそう言った。
『よりによって、遊園地…』龍一は小さく溜め息を漏らした。
「私、『みゆり』って言います。美しい百合って書いて、『美百合』」
龍一が運転する車中で、美百合が聞かれもしないのに元気に名乗った。
「自分でよく言うよ。」
進行方向を見つめたまま、龍一が何故か不満気に呟く。
「どうゆう意味?」
美百合は龍一の意図することがわからず、首を傾げた。