おしゃべりな百合の花
『13 85』とは、『13時85分』、つまり『14時25分』を意味する。
指定の時間まで9分しかなかった。
龍一に下される指令は、いつも時間ギリギリにしか伝えられない。
情報が漏れることを用心してのことだが、下で働く者にしたらたまったもんじゃない。
そんな不満を龍一は億尾にも出さず、無表情のままさらに歩を早め、駅構内を出て、大量の車が引っ切り無しに行き交う大通りを、若干強引に渡った。
そして…
14時23分には、龍一は駅の向かいにある高層ビルの屋上にいた。
壁にもたれるようにして、腰を落とし、ボストンバッグから、バラバラになっている狙撃銃のパーツを取り出し、慣れた手つきで組み立てた。
そして、尻を浮かせるとクルリと向きを変え、分厚い壁の上で駅前の歩道に向かって、完成させた狙撃銃を構えた。
スコープ越しに目的の場所を捉え、標的が来るのをじっと待った。
25分きっかり、黒塗りのセダンが駅前に停車した。
助手席から、背の高い男が降り立ち、後部座席のドアを開けた。
背の高い男は、潜入捜査官、窪田駿。
俳優ばりのオーラを醸し出す50近いその男は、龍一達の間では潜入捜査官の代名詞ともなっている男だった。
窪田はその存在すら国家機密であるが、国の工作員として動く龍一達にとって、カリスマ的存在で、生きているうちから、その偉業はすでに伝説のようになっている。
指定の時間まで9分しかなかった。
龍一に下される指令は、いつも時間ギリギリにしか伝えられない。
情報が漏れることを用心してのことだが、下で働く者にしたらたまったもんじゃない。
そんな不満を龍一は億尾にも出さず、無表情のままさらに歩を早め、駅構内を出て、大量の車が引っ切り無しに行き交う大通りを、若干強引に渡った。
そして…
14時23分には、龍一は駅の向かいにある高層ビルの屋上にいた。
壁にもたれるようにして、腰を落とし、ボストンバッグから、バラバラになっている狙撃銃のパーツを取り出し、慣れた手つきで組み立てた。
そして、尻を浮かせるとクルリと向きを変え、分厚い壁の上で駅前の歩道に向かって、完成させた狙撃銃を構えた。
スコープ越しに目的の場所を捉え、標的が来るのをじっと待った。
25分きっかり、黒塗りのセダンが駅前に停車した。
助手席から、背の高い男が降り立ち、後部座席のドアを開けた。
背の高い男は、潜入捜査官、窪田駿。
俳優ばりのオーラを醸し出す50近いその男は、龍一達の間では潜入捜査官の代名詞ともなっている男だった。
窪田はその存在すら国家機密であるが、国の工作員として動く龍一達にとって、カリスマ的存在で、生きているうちから、その偉業はすでに伝説のようになっている。