おしゃべりな百合の花
 美百合はすぐさま立ち上がり、


「そうね、私は誰とでも寝る尻軽女よ。」


 そう言うと席を離れて、ツカツカと歩くと背もたれに上体を預けたままの龍一の横に立った。


 龍一の、ワイングラスを手にすると、それを龍一の頭上でためらうことなく傾けた。


 龍一の薄茶の前髪から、ワインが滴り落ちる。


 龍一は動じることなく、不自然なほど落ち着き払って、


「美味しいね。出来れば口から飲みたかった。」


 と美百合を横目で見上げた。


「パスタも頭からどうぞ。」


 美百合はテーブルの上の、パスタが少量残っている皿を両手で持ち、それをまた龍一の頭上へ持っていくと、クルリとひっくり返した。


 龍一の頭から、パスタの麺が3本龍一の目の前を垂れ下がった。


 これはさすがの龍一も予想外。


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