おしゃべりな百合の花
「あなた、何者なの?なんでそんな簡単に人が殺せるのよ!?」


「お前を守る為だった。」


 龍一が悲しそうに呟いた。


「私の為に人殺すなんて…バカみたい…」


 美百合の眼から、大粒の涙がポロポロ、ポロポロと止め処なくこぼれ落ちた。


 そんな美百合を為すすべなく、龍一は切なげに見詰め続ける。


 突然、美百合は身を翻し、全力で駆けだした。


 龍一は反射的に後を追い、引き留めようと美百合の腕を掴んだ。


 泣きじゃくりながら、逃れようと暴れる美百合を、強引に引き寄せ、腕の中に収めた。


「放して!放してよ!私に触らないで!!」


 美百合は大声で喚き散らすと、龍一から逃れようとして、龍一の胸や顔を両手で狂ったように何度も殴りつけた。


 それでも龍一は、放そうとせず、じっと美百合の攻撃に耐え、さらにきつく美百合を抱きしめた。


 力尽きてか、美百合は動きを止め、龍一の胸に顔を埋めてむせび泣く。

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