おしゃべりな百合の花
 龍一は動きを止めて、冷ややかに美百合を見下ろした。


「どうする?やめる?」


 龍一の意地悪な問いかけに、美百合は顔を真っ赤にして、


「続けて…」


 と小さな声で言った。


 龍一は薄っすら微笑むと、再びベッドを軋ませた。


 こうして身体を重ねていると、龍一は紛れもなく、美百合が愛している龍一だった。


 龍一以上に、美百合は龍一のことを愛している。


 客として、美百合が働く店に通う龍一を眺めては、この美しい男の全てを独り占めすることを、何度夢見たか知れない。


 その夢が今、叶っている現実に、美百合の思考回路は麻痺し始めていた。


 もう、余計なことを考えるのはやめよう…


 美百合は、龍一との行為に没頭した。

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