おしゃべりな百合の花
 腕枕をし、もう一方の手で美百合の髪を愛おしそうに撫でながら、


「今日は寝ないの?」


 と龍一が尋ねた。


「なんで?」


 美百合が尋ね返すと、しぶしぶ龍一はベッドから起き上がった。


 照明の下で露わになった龍一の逞しい上半身には、痛々しい傷跡がたくさんあった。


「少しでも…油断するとこうなる。」


 そう言って、龍一は苦々しく微笑んだ。


 ようやく美百合は、この傷を見られたくなくて、龍一は美百合が眠るのを待っていたのだと悟る。


 改めて、龍一が危険な仕事をしていることを実感し、胸が締め付けられた。


 服を着ている龍一に


「ねぇ…」


 美百合が呼び掛けた。

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