おしゃべりな百合の花
 龍一は、窪田に試されているのだと思った。


 が、心にもない綺麗事が通用する相手ではない。


 龍一は開き直って、窪田に本音をぶつけた。


「俺は、愛する女を救います。任務なんか、クソ食らえだ。」


 窪田は、苦笑とも微笑ともつかぬ困ったような笑みを見せ、


「そうか。」


 とだけ言うと、助手席のドアを開け、車を降りた。


 慌てて龍一も運転席から飛び出し、颯爽と歩き去る窪田の背中に向かって、


「窪田さん!正解は?正解はどっちなんですか?」


 叫ぶように問う。

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