おしゃべりな百合の花
 信也は、窮地に追いやられているはずの龍一が、涼しい態度を決して崩さないことが、心底気に入らなかった。


「わかった。」


 龍一は顔色一つ変えずに同意した。


 途端、美百合が暴れだした。


「バカ!腰抜け!なんで私がこんなヤツとセックスしなきゃなんないのよ!ボケっとしてないで助けろ!りゅういちぃぃぃぃ!」


 美百合がどんなに喚き散らそうが、龍一は素知らぬ顔をしている。


「このアマ!大人しくしろっつってんだろ!」


 信也が腹立たしげに言い、暴れる美百合を軽々と肩に担いだ。


 龍一は、信也が美百合と行為に及ぼうとした時なら、簡単に仕留められると踏んでいた。


 今は下手に動くべきではない。

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