おしゃべりな百合の花
 だが、龍一のそんな思惑は、すぐに打ち砕かれた。


「おお、調度いい時に来た。今から俺はお楽しみだ。その間、あいつら見張ってろ。くれぐれも殺すなよ。」


 仲間が駆けつけたらしく、部屋を出た信也が誰かに向けて言った。


 部屋の中の隆一には、その相手は見えない。


 これで身動きが取れなくなった。


 さすがの龍一も顔をしかめる。


 信也は美百合を担いだまま姿を消し、代わりに仲間の男が部屋に足を踏み入れた。

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