おしゃべりな百合の花
Sut.
 日付が変わって間もなく、龍一達は目的の場所に到着した。


 政府所有の飛行場。


 広い敷地の中央に、四人乗りセスナがプロペラをすでに忙しく回転させ、美百合達を待ちわびていた。


 龍一は立ち止まることなく、セスナに向かって颯爽と歩く。


 美百合達もその後を小走りで追った。


 セスナのすぐ傍まで来ると、龍一は勢い良くドアを開け、パイロットに向かって、プロペラの回転音に負けないよう、大声で叫んだ。


「谷口、頼む!」


「おう、まかせろ!」


 緊張感のない軽い調子で谷口が答え、龍一は少し不安になる。


 が、軽薄な男だが、腕は確かだと自分を納得させた。

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