カプリッチオ症候群


 ……ゆえ……

 嶺?どうして…?

 …ごめんね………

 何で謝るの?
 謝るのはあたしの方なのに…。

 ……ゆえ……………


 待って、行かないで…
 嶺…

「嶺!!!!!」


 勢い良く叫び目が覚める。

 …あれ?夢?

 周りは白く、独特な匂いのする部屋。

 …保健室か…。
 そっか、倒れたんだ。


 …にしても。
 リアルな夢だった。

 夢にまで嶺が出てくるなんて…あたし重症だな…。


「起きた?」


「あ…先生…」

 女の校医の先生が笑顔でカーテンを開いた。


「大丈夫?…顔色は良さそうね」


「はい、すいません…」


 …倒れたから色々迷惑かけちゃったなぁ…。


「南波さん、最近ちゃんと眠れてないでしょう?今日も貧血で倒れたのよ」


「はい……」

 貧血か…
 確かに最近は寝れていない。今日は丸一日寝てない。


「辛い事があるとね、人ってすぐ体調とかに出てきちゃうのよ?…悩んでいるんなら、全て吐き出した方が楽よ?」


 ニコッと優しい笑顔を向けられる。
 それに吊られてまた涙を流す。


「…うぅ…」


「あらあら…よっぽど辛かったのね…こんな可愛い子を泣かせちゃうのは誰でしょうね?」


 嶺だ。
 あたしが可愛いかは置いておき、いつも嶺には泣かされる。


「馬鹿……嶺の…馬鹿!」

 馬鹿だよ嶺は。
 どうして好きでもないあたしと付き合うの?

 遊び?
 嶺なら遊びでも良かった。

 でも、こうやって拒絶されるのは、遊ばれるより…もっと辛いのかもしれない。


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