カプリッチオ症候群


「れ……い……………?」


 息を切らした嶺があたしの目の前に居る。

 どうして…嶺が。
 昨日と同じ事が起こってる。


「…なんで?」


「…ゆえが…、休むからでしょ」


 なんであたしが休んだからって…。

「……関係…ないんじゃないの?嶺には」


 つい、あたしは向きになって言ってしまう。昨日、関係ないと言われたからだ。

 でも…言いたいのはそんな事じゃない。

 今だって、涙が出そうなくらい嬉しい。


「僕に関係ない?…あるよ。大有り」


「え………?」


「別れるなんて…勝手に決て…僕は承諾してないんだけど?」


 心なしか、寂しそうな瞳をした嶺。
 まるであたしが悪いことしたみたいじゃないか。


「僕がゆえを好きじゃない?何時そんな事言ったの?僕、言った覚えないよ?」

 さっきとは打って変わって意地悪そうな笑みを浮かべだした嶺。

 確かに、嶺があたしを真っ正面から好きじゃないと言った訳ではないが、


「でも!態度が周りの女の子達と全く違った!亜優ちゃんと仲良かった!あたしには特別冷たかったじゃない!」


 こんな態度取られたらどんな鈍感野郎でも気付く。

 嫌われてるんだと。


「…で?僕に言いたいことはそれだけ?」


「電話だって掛かってこなかった!ネックレスだってあたしから持っていっちゃった!!…唯一の繋がりだと思ってたのに!」

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