カプリッチオ症候群
_未来にあたしは写っていますか?
時計の針はもう7時を指していて、カーテンの間から光が差し込む。
もう…朝か……。
「学校……」
行きたくない。
体は怠くて、激しい劣等感に襲われる。
一睡もしていないからか頭の回転はいつもより遥かに鈍ってる。
「ゆえー!早く起きなさい!」
…行きたくないけど、行かなきゃ。
手のひらにあるネックレスを見つめる。
返さなくちゃ………。
「…………頑張ろ」
自分に無理矢理喝を入れて立ち上がらせる。
怖くて怖くて仕方ない。
でも…嶺があたしを好きじゃないならそれまでだ。
それが昨日分かってしまったから。
―あたしは重い足取りで学校に向った。
学校に付くとまず辺りを警戒した。
嶺…居るかな……
どうやらまだ来ていない様子。
いまのうち!!
あたしは走って自分の教室まで向った。
「おー、ゆえ!何息切らしてんだよ」
朝、一番に話し掛けてくるのは剣斗。
野球部のコイツは朝練があるからいつもより早く来ていた。
「そんなに俺に会いたかった?」
……馬鹿じゃないの。
あたしが朝一番におはようって言ってほしいのは、言いたいのは、
嶺だけなのに。
剣斗が…嶺だったら。
「良かった……」
「は?ゆえ…お前何言ってんの?まさかお前……」
………!!
嶺の事、バレた!?