この青空を君へ。
私は、ただひたすら走った。 あんなにこの日を楽しみにしていたミサトへ罪悪感なんて感じる余裕がなくて。ただ今は全ての事を忘れたくて、ただただ走り続けた。


(忘れたい、忘れたい、忘れたい…。もう何もかも消えてしまえばいいのに…。)

キラキラ輝く夜のネオン街をつきぬけ、あまり人気のない通りまでやってきた。


さすがにミュールで走り続けた私の足は悲鳴をあげてきた。

(はぁはぁ…疲れた…。)

呼吸を整えていると、近くにあったさびれた公園からギターの音と歌声が聞こえた。


こんなへんぴな場所で、一体誰が歌っているのだろう。

私は歌声のする公園の中へと向かった。


公園のベンチには、私と同じ年くらいの男の子がクラシックギターを弾きながら、誰かに話しかけるような感じで歌っていた。


その歌は、聞いたこともない歌だけど、心の奥深くまで響くような歌だった。
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