この青空を君へ。
もっと撫でてほしい。
そしてその優しい雰囲気でもっと私を包んでほしい。
そう元樹を求める一方で、さっきの亮とのことを目撃されたことが胸の奥でひっかかっている。


それに、なぜ昨日の金曜公園に来てくれなかったのかも。
今日も20時より遅れてやってきたことも。


色々聞きたいことがたくさんあるけど、ただ今はこの優しさに包まれていたいと思った。


いつしか私は目を閉じて元樹の温もりを感じていた。
頭を撫でてくれた手は、次第に背中へと移り、次に元樹の温もりが私の体全体に広がる。


元樹は私をだきしめながら耳元で囁いた。


「このまま、僕の歌を聞いてくれる?」
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