この青空を君へ。
優しく静かな歌声は、そよ風のようで、夜の公園の静寂の中に響いた。


私だけの歌。

私のためだけの歌。


私の気持ちはどうやって伝えればいい?



私は元樹の腕の中を抜け出し、手を差し出した。



「少し付き合ってくれない?見せたいものがあるの。」


元樹は頷いて、差し出した私の右手を大きくて優しい左手で包みこんだ。



あの絵を見せたい。


こんな気持ちうまく言葉にできないから。


きっと、何も言わなくても伝わる。



どれほどあなたに救われたのか。

私がどれくらいあなたを好きなのか。
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