あいつの頭の中(仮タイトル)
もちろん、今までヒモノだったあたしには、男の友達などいない
頭の中をフル回転させても、この男の顔はヒットしない
一体誰なんだ、この男の人は…
どうしていきなり入ってきて、ベッドで寝ているのだろうか
あたしには起こして、問い詰める程、勇気はない
部屋の隅の壁にへばりつきながら、膝を抱え座った
部屋を間違えて入ってきてのだろうか、
でもそれじゃあ、あたしの顔を見て、部屋を間違えたことに気づくはず
ここに前住んでいた人だろうか…、
酔っ払って間違えて前の家に戻ってきてしまって、
それとも、も、もしかして、あたしのストーカーとか?!
頭をブンブンブンと左右に振った
違う、違う、それならばベッドで寝ずに、あたしを襲うものだろう…
………
……………襲う?
…………………ストーカー!!
バッと立ち上がり、身構えた
部屋には、あたしとこの男の二人きり
もしも、もしもこの男が、今はただ寝たふりをしていて、隙を見て、あ、あたしを襲ってきたらどうしよか
男をまじまじと見つめる
あたしより身長15センチ程高いだろうか、シャツの袖もぴたっと腕に張り付いて、筋肉の形が分かる
ヒモノで19年生きてきたあたしには、この男をやっつけるほどの筋肉などついていない