水音
翌日、薬局で検査薬を買った。

初めての体験にドキドキする。

期待なのか?不安なのか?

結果は意外とすぐに出た。



陽性だ!




あたしは寝ていた快を起こした。

不思議なものであたしの中にはさっきまでの不安は消えていた。

嬉しいという気持ちだけだった。


「快ッ!あのね、できたかも…」

「何が?」



「赤ちゃんッ…」



あたしは快も同じ気持ちなのだと思っていた。

「病院行ったの?」

「まだだけど…」


快の返事は呆気なかった。

あたしはとりあえず病院に行くことにした。


本当は快についてきて欲しい。

でも、そんな我が儘言えない。

心細い気持ちを持ったまま、診察室へ入る。



「おめでたです。」

エコーの写真にまだ点だけの赤ちゃん。

あたしの中にいるんだね…無償に愛しい……。






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