水音
†修復†
カーテンの隙間から日が差し込んでいる。
ゆっくりと瞼を上げる。
眩しさにクラクラする。
重苦しい頭の中を目覚めさせ、記憶を辿ると、どうしようもない不安が襲ってくる。
これからどうしようか…?
もう快の所へは戻れない。
赤ちゃんもいない。
一人ぼっち…。
ふと、視線を移すと、隣にはあの日と同じ寝顔。
でも、ここにもずっといるわけにいかないよね?
冷静に現実に引き戻される。
だけど、あまり考えたくない。
もう少しだけ、このまま眠りたいな。
夢を見続けたい。
もう一度瞼を閉じる。
すると、額に柔らかさを感じ目が覚める。
目の前にはコウさんの顔?
「おはようのチュウ。」
コウさんは少年みたいにはにかんだ。
アタシは一気に真っ赤になって、毛布を被り、顔を隠した。
「かわいいッ」
と呟くと、コウさんは背伸びをして立ち上がった。
さすがに目が覚め、あたしも起き上がる。
「もう少し休んでいていいよ。」
「大丈夫ですよ。ありがとうございました。家に帰らなくていいんですか?」
「酔って泊まるのはいつもだしね〜。ウチのヤツも悠奈チャンなら妬かないって!」
「どぉいう意味すかぁ?」
久々に笑えた。
コウさんがいてくれて良かった。
【ウチのヤツ】
…かぁ…
コウさんも奥さんいるんだよね。
甘えてばかりいられない。
「ホラ、悠奈チャンは娘みたいなモノだしな!」
【娘】
…なんだか、今さらこの響きに違和感を感じる。
この時はまだそれが何かも気づかなかったけど。