水音
その時だった。




開店前の店のドアを開ける音。

振り向くと

「悠奈…?」

快の立ちすくむ姿。


「悪かった、戻ってくれない?」


あたしが口を開く前に



『バキィッ』

鈍い音が響く。



「お前今まで何してたんだよ!」

床に倒れる快に怒声を浴びせるコウさん…

アタシはコウさんの低い声に驚いた。


でも、本気になってくれたことが嬉しかった。



「すみませんでした。」

「二度と泣かせるなよ?」

気がつくと、あたしの目から涙が溢れていた。

恐いからじゃない。

悲しいからじゃない。

嬉しいから……。



快が迎えに来てくれた事が…、

コウさんが怒ってくれた事が…、

あたしは一人じゃないという事が………

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