水音
あたしはゆっくり扉を開ける。


「どうした?忘れ物?」


あたしの居場所。



コウさんの所。





「あたしもやっぱ飲もうかと思って!」


カウンターに腰を下ろした。


「また何かあった?」

コウさんは何でもわかるらしい。

「まぁね。」



あたしの頭は真っ白だったけど、あの日のように涙を流すことはなかった。



まるで夢から醒めたような感覚。






コウさんが作ってくれたカクテルに口をつけた。


この街の海と同じブルーのカクテルだった。



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