水音
あぁ、そっか…



あたしはようやく気がついた。

何故、涙が出なかったのか、悲しくなかったのか…



あたしは快ではなく、コウさんが好きなんだ。




コウさんが好きだ。




そう自覚した時、あたしはもう止める事ができなかった。



何度も何度も唇を重ね合わせる。

甘い吐息が漏れる。

意識が途切れそうになる。



額じゃなく、本当のKiss…


あたしは全てを忘れてコウさんの温もりを感じていた。







あたしは今まで自分で鍵をかけてたんだね。


見えなかったのではなく、見ようとしていなかったんだ。


やっと気がついた。



コウさんが好き。




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