水音
それから、あたし達は近くのホテルに入った。


服を乾かして、熱いシャワーを浴び、体を暖める。





コウさんとの会話はほとんどなかった。



シャワーを浴びると素肌のまま、ベットに入って抱き合った。


そして、たくさんの口付けを交す。



でも、それ以上はしなかった。


ただそれだけで十分だった。




罪を忘れて、ひたすら温もりを求めた。


コウさんの細い体を

体温を

頭を撫でる大きな手を

あたしを包む長い両腕を

優しい唇を




あたしは求めていた。





誰かが側にいるだけでこんなにも幸せなんだって知らなかったよ…








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