水音
あたしは強く快を見つめた。
「は…?まじで言ってんの?」
「マジだよ。…ゴメンね。」
「誰?好きな奴って?」
あたしは躊躇った。
コウさんの名前は出せない。
「名前は言えない。けど、あたしは本気だよ。」
「…なんだそれ?」
快が強くあたしの肩をつかんだ。
「なぁ!冗談だろ?俺には悠奈しかいないんだ。今まで確かに浮気とかしたけど、昨日は本当に会って話しただけだし、もう悠奈だけなんだよ?」
快の手に力が入る。
「それが嘘でも本当でも、あたしが好きなのは、もう快じゃないんだ。」
そう言い放って、また強く快を見つめた。