水音
突然、頬に痛みが走った。
視界が回る。
見上げると、あたしの上に快がいる。
あたしはようやく殴られたことを理解した。
快の左手はあたしの襟をつかんでいる。
「悠奈だけなんだ…」
そう言うと、快の拳が振り上げられた。
抵抗しようとしても、男の人には勝てない。
あたしは人形のように殴られた。
ふと、目を開けると、いつもの快はいなかった。
快の瞳には何も映っていない。
恐い…
単純な恐怖だけがあたしを襲っていた。