水音

あの頃の『愛』はどこにもなかった。


あたしには『恐怖』と『虚しさ』だけがある。



快は何を感じていた…?




あの頃は確かに幸せだったよ。

何も持ってなかったあたしに幸せをくれたのは、快だったから。



でも、気づいてしまったんだ。


快の事は嫌いじゃない。


今でも好き。


でも、好きのカタチが違う。



快に抱かれても『恐怖』と『虚しさ』だけなんだよ?



あたしは知ってしまったから。


何よりも甘い口づけを…







もう、嘘をつかれるのも、嘘をつくのにも疲れちゃった。




あたしは素直になりたい…




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