水音
快に掴まれた部分が赤黒くなっている。


痛い。



どうしてこんな事になった?

あの頃のあたし達はどこにもいない。







「俺、本当に浮気してないから。」


違うよ?


原因はそれだけじゃないんだよ?


ただ疲れた。


だから、コウさんの優しさが染みたんだよ。




「それが嘘でも本当でも、あたしの気持ちは快にない。それが真実だから。」


もう一度、あたしは言った。



嘘でも、本当でも、もうそんなことは関係なかった。



コウさんが好きだというのが真実…。





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