Tears

「それって絶対恋だよ~」


若菜が茶化したように言うけど
生まれてこの方、
一目惚れなんてしたことがない。


「それはないって」


笑いながらふと前を見ると
見覚えのある後姿が見えた。


もしかして…


「じゃあさ~、あさって暇?」


「あさって?」


「そうそう。水曜日」


「たぶん暇してるよー」


「じゃあ、あさってこそ
 ご飯食べに行こうよ!」


「うん、分かった。
 じゃ、あさってまた連絡するよ」


「はーい、またねー」


ちょっと強引に電話を切ると、
少し早歩き気味にその後ろ姿を追う。


「あの~…」







< 23 / 25 >

この作品をシェア

pagetop