Tears
「それって絶対恋だよ~」
若菜が茶化したように言うけど
生まれてこの方、
一目惚れなんてしたことがない。
「それはないって」
笑いながらふと前を見ると
見覚えのある後姿が見えた。
もしかして…
「じゃあさ~、あさって暇?」
「あさって?」
「そうそう。水曜日」
「たぶん暇してるよー」
「じゃあ、あさってこそ
ご飯食べに行こうよ!」
「うん、分かった。
じゃ、あさってまた連絡するよ」
「はーい、またねー」
ちょっと強引に電話を切ると、
少し早歩き気味にその後ろ姿を追う。
「あの~…」