甘い甘い恋
「何暗い顔してんのー?そんな暗い顔してたら男も逃げちゃうよ♪」
伊吹先輩はヒャハっと笑いあたしを見る。
あたしを見るなり真面目な顔に戻った。
「…帰ろっか♪」
伊吹先輩はあたしの手を握る。
「…や…やめて下さい…」
あたしが言うと伊吹先輩はえっ?っと言う顔をして手を離さない。
「靴変えて来ようっと♪」
そういうと伊吹先輩はあたしの手を離し下駄箱に行った。
あたしも下駄箱に手を伸ばす。
伸ばした後に下駄箱の一人の名前を見る。
”望月雷哉”
雷哉の下駄箱が目につく。
というより見てしまう。
まだ靴があった。
まだ学校内にいるんだ…
そう思った。