甲子園の奇跡
……………

「まだいたの?」

「諒大、一緒にかえろー」

問いかけには答えず、あたしは「早く」と諒大を急かした。


練習が終わって、部員達は各自部室に行く者、そのまま室内練習場に行って練習を続ける者。


「少し待ってて。まだ片付けあるから」

そう言って諒大は再びグランドに消えていく。



それから30分経過―――


遅い。遅すぎる。

もう片付けは終わったよね?

外は暗くなって、おまけにグランドの明かりは消えてるのに―――


帰ってもよかったけど、今日は色々諒大と話したいこともあったから、あたしは勝手にグランドの中に入った。

すると、この間と同じように隅の方でボールを投げ込む諒大の姿が、そこにはあった。
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