甲子園の奇跡
約束が成立した所であたしは本題に入った。


「新入生歓迎会の部活紹介、あの時、諒大もいたの?」

「いたよ。心達が見てるとこからは見えない影に隠れてたけど」

あはは、と諒大は小さく笑って、缶ジュースの残りをぐい、と飲み干した。


「じゃあ…マイクで話してたのは?」

諒大がいたかいないかなんて全然問題じゃない。

本当はこれが聞きたかった。


「マイク?恭亮(キョウスケ)だ。うちのエースで4番で主将だよ。倉内恭亮-クラウチ キョウスケ」

「エースって背番号は?」

「エースったら1番だろ」

「だよね!」

呆れ笑いをしながら返す諒大に、あたしはごまかし笑いをしながら答えた。



倉内先輩―――

やっぱり、あなただったんですね。

センバツでエースナンバーをつけてた人は。
< 16 / 37 >

この作品をシェア

pagetop