甲子園の奇跡
……………

7月9日 予選大会が開幕。

清稜高校は二回戦からの出場で、10-0、7-1、5-0、4-3と順調に勝ち進み、決勝まで駒を進めた。


決勝の相手は去年の夏、甲子園出場の城南学園。相手に不足はない。


初回、ワンナウトランナーなしから三番の三沢君が初球をセンター前。

その後、四番、五番の連打で1・3塁。

六番がレフトへ高々と上がる犠牲フライを上げ先制点。

城南学園0-1清稜高校


あたしは必死にスタンドから声援を送り続けた。


初めは野球なんて全く興味が無かった。

練習を見に行ったのも倉持先輩に近づきたかっただけ。


でも、今はそんなの関係なしに野球が好きになってた。

毎日汗と泥まみれになりながら厳しい練習に耐え、今こうしてグランドに立ってる野球部のみんな。

いつもよりも数倍、カッコイイよ。



結局、前評判は城南有利と言われてた中、清稜高校は小刻みに得点を重ね、8回には打者9人の猛攻で一気に7点。13-2の圧倒的勝利で決勝戦を制す。

校歌が流れた後、スタンドの前に駆け寄ってきた選手達は笑顔で手を振っていた。
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