甲子園の奇跡
もう一つのエース番号。背番号18


お父さんに聞いたことがある。

高校野球でのエースは1番だけど、プロ野球でのエース番号は18だって。


監督も粋なプレゼントをしてくれたね。いいとこあるじゃん。

なんて、あたしが物思いにふけっていると―――


ぐい、と腕を引かれて、歩き出す。


「どこ行くの?」

足並みが並んだと同時に諒大に問いかけたけど、言葉は返ってこない。

しばらく無言で手を引かれ、歩き続けた。


***

ピタリと諒大が足を止めた。

向きを変えて向かい合う状態で、諒大はあたしの顔を黙って見つめる。


「心、俺…」

そう言って、視線を外す諒大。


だけど、すぐに向き直って、背筋を伸ばして瞳を真っ直ぐ見据えた。

「俺…俺はっ…心が好きなんだ」


えっ?

驚いて目を見開きながら、あたしは諒大を見つめていた。


嘘…だよね?

諒大があたしを好きだなんて。
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