甲子園の奇跡
「な、な、なななななんで?」

突然のことで頭がうまくついていかなくて、訳が分からないままあたしは諒大に問う。


「なんでって、そんなの分かんない。気づいたら好きになってた。でも、理由があるとするなら、いつも一緒にいてくれたから」

「何それ!分かんないよ」


まさか諒大にこんなこと言われると思ってなくて…

何て答えていいか分からなくて…

あたしは声を張り上げて、ごまかそうとした。


「急にごめん。でも、明日行く前に言っておきたかった。今日は特別な日のような気がして。それに、俺、心に会ってなかったら野球部、辞めてたから」


肩を壊して、ずっと悩んでた。

野球部を辞めるかどうしようか。

投げたくても投げられない。

いつも通りに接してくれるチームメイト。

でも、どこか気を遣われてるように感じてなからなかった。

みんなで監督を甲子園に連れてくって決めたのに、自分は何もすることができない。

悩んで、悩んで、悩んだ済、ちらちらと頭の中を過ぎる『退部』の二文字。


「そんな時、心が「マネージャーやりたい」って来て…それまでマネージャーなんて、って思ってたけど、その居場所が他の誰かに取られそうになると…譲りたくない…って。あと、キャッチボールも。いいストレス発散になった」


諒大が一生懸命話してくれてるのに、あたしは上の空。

何て答えればいいんだろうって、それだけを考えていた。
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