甲子園の奇跡
何か言わなきゃ。


「あの…「俺っ…」」

2人の言葉が重なる。


「諒大から言って?」

諒大は「うん」と言った後、再び言葉を続けた。


「俺が勝手に好きなだけだから。別に返事はいらないし、気にしないで?あ、でも今まで通りにしてて欲しいかな。よく分かんないけど、いいんだ」

「え?」

「急に呼び出してごめんね。俺、明日早いから帰るな」

それだけ言うと諒大はふっと笑いを浮かべて、くるりと背中を向け歩き出した。



「諒大!」

名前を呼んでも聞こえているのに諒大は振り向かない。


小さくなっていく、諒大の後ろ姿。

笑いながらもどこか寂しげだった表情。


―――ズキン


優しい微笑みがあまりにも切なくて、胸が傷んだ。
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