甲子園の奇跡

……………

「ははっ。なんか明日の試合、絶対勝てそうな気がしてきた」

「明日が大事なのは分かるけど、今そんな話…」

「だってもう諦めてたのに、分かんないもんだな。ツーアウトからの奇跡。ホームラン打った気分だ」

へへっと諒大は照れ笑い。



けれど、諒大の言ったことは本当になった。


決勝戦の相手は甲子園の常連、強打で有名な桐智(ﾄｳﾁ)学院。

今年のドラフトの目玉と言われてる、今大会最強のスラッガーがいるチーム。


５－４の１点ビハインドで迎えた９回裏、ランナーを一塁に置いてバッターボックスには４番の倉持先輩。

三塁アルプススタンドでは泣きながら祈り、応援するみんな。

マウンド上には桐智学院のエース。


カッキーン！

金属バッドのいい音がした。


打った瞬間、ホームランだと分かる大きな当たり。

白球は綺麗なアーチを描いて、スタンドに吸い込まれていく。


ツーアウトからの逆転サヨナラホームラン！

この瞬間、清稜高校は全国の頂点に立った。