甲子園の奇跡
*2
「先生。お願い!」

「駄目」

「そんなこと言わないでぇ。一生懸命やるし、傍で野球が見たいの!」

「駄目。うちでは女のマネージャーは取らないことになってるから」

マネージャーになるというあたしの夢は、眼鏡の奥から優しい笑顔を見せる野球部監督の一言で閉ざされた。


それでもしつこくつきまとうあたしの顔を見て、溜め息を吐いた先生。

「そんなに野球が好きなのか?」


あたしがマネージャーになることを許してくれるんだ!


笑顔で『はい』と答えると、先生は言った。

『女子のソフトボール部があるからそっちに行きなさい』


くっ。

野球部への入部は認めてくれないって訳ね。


「もういいです!」

叫んで、あたしは駆け出した。
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