甲子園の奇跡
高野 諒大―タカノリョウタ

校門を出るまでの間互いに自己紹介をして、初めて彼の名前を知った。


「諒大はずっと野球部?」

「ちょっ…お前は1年なんだから、普通は高野先輩、じゃないの?」

「関係なーい。2年くらい早く生まれたからって先輩面しないでよね」

笑いながら言った所で校門に差し掛かる。



「じゃあね、諒大」

手を振って別れた…つもりだったけど、諒大が後ろから付いてくる。


あたしがピタリと足を止めると、諒大も足を止めた。


「付いてこないでよ。ストーカー!」

「何か勘違いしてるみたいだけど、俺の家もこっちなの」

「そうなの?」

「そうなの!」


話をしていると、諒大の家までの通り道にあたしの家があることが分かった。

それとうちの高校の野球部は意外と強くて、毎年野球留学…地元とは異なる各都道府県からの入部が相次ぐ。

だから、野球部の合宿所みたいなのがあって、そこで生活してる部員も多いそう。

逆に俺みたいな帰宅組は少ないくらい、と諒大は笑って言った。
< 8 / 37 >

この作品をシェア

pagetop