Promise at Christmas
俺は質問には答えず、ステーキを口に運びながら未来から視線を逸らした。



彼女が口にしたことは当たっている。

俺の働く会社では新プロジェクトが水面下で進んでいて、それに伴い近々新会社を設立する。

そして、その現場担当を任された上司の補佐として抜擢されたのが俺って訳だ。


これは今までの俺の仕事振りが高く評価された快挙と言っても良い。

既に辞令は貰っている。


出発は12月25日。

…クリスマスの日。



「本当に行っちゃうの?」

「あぁ。本当だよ」


気のせいか、未来の目は少しだけ潤んでいるようにも見える。


どうしてそんな顔をするんだ。


俺のことなんて好きでもなんでもない。

別の男が好きな癖に…。



"未来が好きだ"

この気持ちを今ここで伝えたらどうなるのだろう。



きっと君を困らせるだけ。



だから伝えないまま…

このまま別れると心に決めていた。
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